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時代箪笥の木庵田中は明治時代の和箪笥(骨董たんす)をリホームリメークして今の生活に使える時代箪笥を販売する京都の家具屋です。

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エッセイ右往左往item list

エッセイ右往左往は1月4月7月10月に更新します。


木庵の日々の出来事をつぶやいております どうぞお楽しみ下さい。

右往左往 2023 07

毎日走り回っているつもりでも所詮大自然の掌で右往左往しているのが関の山そんな私のひとりごと(紫野 木庵 庵主 公童法師)No109

 

いろは説法2-1今回は18日の「泳ごうとすると沈み、水にまかせた時浮き上がる一本の筆を動かすコツ。」です。師の山坊では毎週木曜日は午後と夜にお習字の稽古をしておられた。本山の時役が終わる午前10時頃までに番茶の用意と大きな端渓の硯に墨を擦る、座敷に敷かれた紺色の毛氈を掃除しテーブルを並べる。帰られた師は番茶をすすり庭掃除へ、彼はまた墨を擦り続ける。昼食を頂き少し午睡、午後1時を過ぎると奈良はもとより神戸から生徒さんが来られる、各自書かれた紙を出し師が朱墨で添削される。それを彼は師の左に座り墨を擦りながら眺めている。添削の後は新しいお手本を書かれる、王義之 顔真卿 そして平仮名の和歌 生徒の皆様は周りの方と話をしながら いや師の手元を見ずにおしゃべりに花を咲かしておられる。彼は師の筆先をじっと見ていると小学校のお習字の時間に習ったトンツーテン左上から右下にトンと筆を置き右にツーと動かしテンと抑えるのとは違いトンが右から左に入り筆を立てて右に返す逆筆と呼ばれる書き方。なんでも単調になりがちな字に変化を持たせ自在に筆を運べる方法だそう。一度師にお稽古をお願いしたが「みんな私のお手本が欲しいんですよ、あんたは横に座ってみてたらよろしい。」と、また月に一度は水彩画の三田村先生がおこしになり絵の話より燕の啼き方を教えて頂いた。「土食って 虫食って口渋ーい」だそうです。そんな山坊の午後のひと時。

 

 

 筆持たず 墨擦り続けて 見習いて パソコン時代 マウスあやつる  (公童法師)

 

いろは説法2-2夕食後座敷のテーブルは昼のお稽古のまま午後7時頃から夜の生徒さんがやってこられる。陶芸家 和菓子職人 俳句の師匠?皆さん真剣に墨を擦り黙々と臨書に励んでおられる。ある日午後8時奈良太郎と呼ばれる釣鐘が突かれると「一筆所望」と陶芸家の先生が仕事場に掛ける横書きの依頼が彼にあった。直接お願いされたらいいのにね、お稽古のテーブルを片付け毛氈の上に画仙紙を用意、たばこを揺らがせて師は口をモグモグ「独楽」ではどうです。早速太い筆に墨を含ませ仕上げられた、画仙紙がもう一枚あったので「あんたはいらんのか」と問われるので「ぜひ」とお答えすると「一火神変」と仕事に対する心構えを教えて頂けた。「まあ茶碗も窯で焼いてみんと出来上がりはワカランしな」と言われたが最近になり「神変」とは自由自在に動くことと研修会で習い「ああ こだわらないことか」と理解した彼。そういえば「筆の進みたいように動かしてやると好い字が書ける」とも言っておられた。それを聴いておられた俳句の師匠「背筋をピント立てて筆を持つ」儂は先生にそお教わったと、まるでお釈迦様の話をお弟子の羅漢さんが代わりに言われたように、師はただニコッと微笑まれた。昔々のお話。

 

木庵さんのききものがたり華厳経入法界品」はここをくりっくしてね。

 

 

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